以下は別にサイエンティスト目線からの傲慢でもなんでもなく,コミュニケーションに関する一般的な認識だと思うんだ.僕自身,このblog で特に「環境問題(笑)」のシリーズでサイエンスコミュニケーションの真似事をやっていたりするので,ひとつは,以下の原則以上に傲慢になっていないか,という自省の念も込めて…….
・無知であることとバカであることは根本的に違う.同じ無知でも学習意欲の有無で月とスッポンの差がある.サイエンスコミュニケーションで科学が相手に想定しているのは学習意欲のある無知な人だけである.
・サイエンスコミュニケーションは,科学に対して興味はあるけど無知な人に科学を理解して頂くためにサイエンティストが努力するものであるけれども,サイエンティストがバカのために粉骨砕身するものではない.ましてや,学習意欲がない人間を相手にする場ではない.サイエンスコミュニケーションの場は義務教育機関ではない.
・ある程度以上の共通理解を得られないバカとはそもそもコミュニケーションが成り立たない.ディスカッションもできない.
・ゆえに,相手とコミュニケーションを取るときに,無尽蔵なバカを想定する必要はない.仮に相手が雑多な背景をもつ人間の集団であった場合,コミュニティーの中の一番下にレベルを合わせる必要はない.
・サイエンスコミュニケーションは学校教育と一緒.落ちこぼれを作ることも,バカにものごとを理解させることが出来ないことも,学習意欲がない人間を切り捨てることも,責められる必要はない.
・そもそも,こういう指導・啓蒙のプログラムは,上記のような人をどうにかするようにできていない.特殊なおバカさんたちを除く,できるだけ多くの人間が一定水準の理解を得られることを目的としている.
・普通の高等教育機関は「入学試験」で「学習希望者」を選別している.当然,(通常,高等教育に準ずる知識の伝搬を目的とする)サイエンスコミュニケーションの場でも,どうしようもないおバカさんを相手から除外する権利はある.
・しかし,実際には選別不能であるので,やってくる一定数のおバカさんたちはなんとかしてスルーするしかない.
・サイエンスコミュニケーションの場において,物事を理解できないのは,解説者の能力不足ではなく,自分の脳みそが一般の平均からみて劣っていることを指していると認識すべき.現実に,貴方の周りの人間の大多数はその解説者の話を理解できているはず.
・結局,日本語話者としか日本語では会話できない.……つまりは,そういうこと.
……これを僕のかわりに某古生物掲示板に貼ってくれる方がいらっしゃいましたらyulico までご連絡下さい.それによって,いかなる損害が生じてもyulico は責任を負いかねますが,一食くらい奢ります.