2008年07月01日

環境問題(笑)5

ようこそ,「四弦低音楽器が笑う…不気味に.」へ.
このテキーラはサービスだから,まず飲んで落ち着いて欲しい.

うん,また「環境問題(笑)」なんだ.済まない.
仏の顔もって言うしね,謝って許してもらおうとも思っていない.

でも,このスレタイを見たとき,君は,きっと言葉では言い表せない 「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う.
殺伐とした世の中で,そういう気持ちを忘れないで欲しい,そう思って このスレを立てたんだ.

じゃあ,注文を聞こうか.

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ペペネタ
「ぶっちゃけ環境問題って捏造としか思えんのよ」
(URL: http://pepeneta.blog78.fc2.com/blog-entry-704.html

もう,これまでも散々書いたことを蒸し返すのも面倒くさいので一問一答形式の箇条書きで書いていきます.ネタにマジレスです.体力的な問題で全レスは勘弁して下さい…….

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あと,以前,僕の書いた下記の記事を事前に読んだほうが良いかもしれません…….そうすると,この記事で取り上げられている質問がどれほど馬鹿げているかが解ると思います.

「環境問題(笑)」
「環境問題(笑)2」
「環境問題(笑)3」
「環境問題(笑)4」

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Q. 本当に温暖化しているの?

A. はい.温暖化を示すグラフなんて巷に死ぬ程溢れています.それだけで不満でしたら詳しくはこのシリーズの第一弾「環境問題(笑)」「環境問題(笑)2」をどうぞ.アイスコアの融解は,最近十数年が過去1万年で一番温暖であることを示しています.

Q. 「寒冷化」を唱えている学者もいるのになんで,そんなに確定的にいうの?

A. 確定的に言う理由は「ほとんど詰んでるから」.将棋で言えば,後数手.詰んでいることはわかっているのに投了していない状態.

「寒冷化」を唱える学者の代表である丸山茂徳先生に対する批判は「環境問題(笑)4」に詳しく書いてあります.簡単に言うと,「寒冷化」「温暖化」という単語の定義の違いです.仮説のサイエンティフィックな背景は間違っていなくとも,それでどの程度の影響が出るのか,という見積もりに間違いがあるんじゃあ…….

Q. 人間ゴトキの活動で地球がどうにかなるわけがないだろ?

A. どうにでもなります.

現在の地球システムを考える時,「岩石圏」「水圏」「大気圏」「生物圏」にならぶ大きなシステムとして「人圏」を考えるのが通常です.そのくらい,人間は環境に対する大きな影響力を持っています.

ちなみに,現在の地球上の大油田は大部分が白亜紀中期のOAE と呼ばれるイベントで形成されたものです.OAE というイベントは簡単にいうと,極端な温暖化によって海洋底の酸素が無くなったために,海洋底の堆積物中に大量の有機物が保存されたイベントです.このイベントによって大気中の二酸化炭素が大量に有機炭素として埋没したおかげで,白亜紀後期には両極に氷が形成される程の寒冷化が起こったとされています(というのは正直大袈裟だとは思いますが,Norris et al., 2008 で,Turonian 後期には氷床が形成されていた可能性が論じられています.ただ,氷床形成の有無はともかく,気温が急激に低下したのは事実です).

白亜紀中期が非常に温暖な期間であったことは一般にもよく知られています(現在よりも二酸化炭素分圧が10 倍〜20 倍も高かったと考えられています).この超温暖期から氷床を形成するまでの「寒冷化」を引き起こしたOAE のイベントによって蓄積された大量の有機炭素を,現在の文明は二酸化炭素に戻しているのです.温暖化しないほうがおかしいと思いませんか?

Q. 恐竜がいた時代はもっと暑かったじゃん?

A. 白亜紀のことを言いたいんだと思います.前質問で書いてある通り,大気中の二酸化炭素が10 倍以上あり,非常に温暖な環境でした.そして,現在,人間はその時代に地層中に蓄積された有機炭素を燃やすことで,その大規模な温暖化を再現しようとしています(もちろん,全炭素が石油になったわけでもないし,石油を全部燃やしたわけでもないので,白亜紀には戻りませんが…….でも,両極に氷がない時代はもうすぐだろうなー).

Q. エコエコ詐欺ですよね?

A. 政治の世界を通して経済界や産業界にまで行った問題に当blog が答えることはできかねます.

ただ,商売人どもと科学者を一緒に扱うな!!

こっちはサイエンスに命をかけている人間なのであって,サイエンティフィックな議論もされずに全否定される義理はない.少しは頭を使え,バカども.

Q. 温暖化しているから二酸化炭素が増えているかも知れないじゃん?

A. その可能性はゼロではないけれど,結局,二酸化炭素が増えたら暑くなるよ?

因みに,産業革命以降に増加しているとされる二酸化炭素の増加分が,人為起源であることは観測事実です.詳しくは「環境問題(笑)2」をご参照下さい.

Q. エコエコ言っている女を見てると悲しくなってくる.

A. そういうあなた方を見ているほうが悲しいです.少しは脳みそを使いましょう.

エコエコ言っている人も脳みそを使っていないことは明白ですが,同じバカなら「扱いやすいバカ」のほうがいいです.施政者的に考えて.

まぁ,学者はどっちも嫌いですが.

Q. 石油がどうやってできるかわかったの?

A. 1〜10 まで全部がわかっていないとでも?それとも,石油無機起源とか言う宗教の信者?

Q. 間氷期の終わりは一瞬気温が上がってがくっと下がる時期がある.今がちょうどその時.温暖化して大変だ,対策をしようと思っているうちに数年たつとなんだかよく分からないうちに気温がいきなり下がりはじめるから,「対策の効果があってよかった」,「温暖化に歯止めがかかった」,「我々の提言のおかげだ」とか自分の成果で温暖化が止まったような発言をして預言者や地球の救世主を気取る奴が続出する.

A. まず「間氷期」じゃなくて「氷期」な.Younger-Dryas 期の「ぶり返し寒冷化」の話ですね.「Day After Tomorrow」を見てお勉強したんでちゅね.えらいでちゅねー.

……が,寒冷化のほうが温暖化より遥かにヤバいって知ってる?で,その寒冷化が起こる前の温暖化にならないように何とかしようとしてるって知ってる?で,学者がそこまで考慮した上で「温暖化」の警告をしているって知ってる?

ちなみに,最終氷期のあとにYounger-Dryas の寒冷化が来るまでBering-Allerod の温暖期が2000 年くらいあるんだ.たった数年で寒冷化とか有り得ないです.もちろん,温暖化もそんなに短いスパンで捉えている人はいません.詳しくは「環境問題(笑)4」をご参照下さい.

Q. 二酸化炭素より砂漠化のが問題だと思うんだが?普通なら植物が吸収するエネルギーが地面に直接当たって熱になりそうじゃね?

A. それも含めて温暖化です.

Q. 温暖化が嘘かどうかじゃなくて,温暖化の原因が人間かどうか疑わしいよ.

A. 原因です.先述の通り.

Q. 温暖化で世界中の氷が溶けているかのような話になっているが,北極圏の氷は溶けているものの,南極圏(南氷洋)の氷は1978 年から現在までの間に8 % 増えているって言うけど?

A. これも既に書いた気がしますが…….「環境問題(笑)2」だったかな…….

問題なのは氷の総量ではなくて,面積です.氷は太陽光を反射してくれるので,氷の面積が減ると地球にたどり着く太陽光の量が増加します.すると当然地球は温暖化が促進されます.

温暖化で大気中の水蒸気量は増えるから,南極の降雪量が増えるのは事実です.しかし,それは南極の中心部だけの話です.中心部でどんどん雪が降って氷がいくら厚くなっても,縁辺部からどんどん融けていって,氷自体の面積はどんどん小さくなるから無関係です.むしろ,それによってどんどん温暖化は加速します.アルベドフィードバックという現象です.アルベドについても「環境問題(笑)2」に書いてあります.

Q. 都市温暖化じゃないの?

A. そんな説は遥か昔に否定されています.なんで北極の氷が溶けていると思っているの?北極に都市があると思ってるの?バカなの?死ぬの?つーか,死ねよ.

Q. 二酸化炭素減らしたところで解決しないよ.解決に近づく可能性があるだけだよ.それをさも二酸化炭素を減らすことが温暖化解決の唯一絶対みたいなこと言ってるからじゃない?

A. 前半は事実.もう詰んでいますから.

今行われているキャンペーンは「人力で何とかできるのは二酸化炭素の排出量だけなんだから,何とかしたらどうですか?」というのが科学者からの提案です.それ以外は政治の世界の話なので科学は無関係です.

ちなみに,二酸化炭素削減以外に何も考えていないみたいな言い方をされるのは心外ですので,個人的には気が進まないものの,過去の記事でネタにした「巨大日傘説」にリンクしておきます(参考:「以前書いた記事のお詫びと訂正」).これが本当に妥当な方法かどうかはおいておいて,科学者は色々考えているんだってことを主張しておきます.

Q. 温室効果ガスは二酸化炭素以外にも無数にある.最大の温室効果ガスは水蒸気で全温室効果ガスの9割以上.

A. 水蒸気が大きい因子なのは事実だけど,どうやって調節するつもりなんでしょう?海にラップでも張るの?バカなの?死ぬの?つーか,死ねよ.(2 回目)

因みに,90 % ってのは量比で,温室効果の度合いは完全無視だよね?あと,水蒸気以外の温室効果ガスって,代表的なのは窒素酸化物,硫黄酸化物,フロンなんだけど,これって工業起源で,二酸化炭素と発生源は一緒なんだ.だから,工業を自重しろと(ry

Q. 二酸化炭素が増加すると地球の平均気温が増加するという証拠も科学的根拠もない.

A. 一世紀以上前に科学的根拠が示されていますが?(参考:「環境問題(笑)4」

アレニウスは教科書に名前を残すだけあって,本当に天才だったんだなー,と思います.

Q. 人間が人為的に排出する二酸化炭素の総量は,自然界が排出するCO2の総量の2.5%しかない.

A. ソースは?地球環境の専門家の卵である僕の読んだことのない論文を読んだことがあるって凄いです.次に引用するときは,ジャーナルとタイトルと年代と筆頭著者名を教えて下さい.

比較的真面目にレスをすると,増加しているのは自然バランスの中で行われている放出,吸収のサイクルから外れてしまっている分のみの増加量.地球内部からの二酸化炭素の放出と,様々な作用による炭素固定はほぼ釣り合っている(完全には釣り合っていない).しかし,そこに自然吸収分で賄いきれない「人為起源」の二酸化炭素が大量放出されてしまっているからいま問題となっています.全炭素サイクルの二酸化炭素の2.5 % も毎年増えているって考えたら恐ろしくないですか?

Q. 気温が上昇しても海面は上昇しない,むしろ極地の降雪量が増えて海面が下がる可能性もある.

A. 論外.どうやったら,融解量・熱膨張を超える降雪をもたらせるのか?

Q. NASA の研究によると,南極の氷はむしろ増えている.

A. これは先述の通り.むしろ,このデータは学者を絶望のどん底に突き落としました.だって,温暖化が進行している紛れもない証拠ですもの…….しかも,最悪な「温暖化の正のフィードバック」が起こっていると言う…….

Q. 仮に二酸化炭素濃度が上昇しても,それは植物にとって好都合,巨大シダ植物が群生していた3億年前は現在の10倍の二酸化炭素濃度だった.

A. そうだね.でも,生態系は変わるよ?

現在の農作物の生産地が急激に変化したらどうなると思う?まぁ,これは経済とか政治の問題だから,科学者にとっちゃ何でもないんですけれどね.

Q. 仮に気温が上昇しても,それは一般的に動植物にとって好都合.

A. これも事実.でも,生息地を失う動植物が多いのも事実.なんで,そんな簡単なことも解らないのだろう…….つーか,別に科学者は温暖化すること自体,屁とも思っていません.

僕は札幌在住ですが,10 年後には東京くらいの温暖な暮らしやすい街になると思うので,その日が来るのを心待ちにしています.あんな寒い冬はもう嫌だ!

Q. 今から40年前,地球の気温は下がっていた.マスコミは「地球寒冷化で人類は大被害を受ける」と煽っていた.

A. 科学は日々進歩して,今では今後100 年で起こる大きな環境シフトまで予測できるようになりました.

マスゴミ?なにそれ?おいしいの?

Q. マスコミがよく取り上げるツバル水没は,海面上昇ではなく太平洋戦争時の米軍の飛行場建設で地盤沈下を起こしているため.

A. ツバルについてはそうでしょう.大体,まだ大陸氷床はほとんど融けていないのに,海水面が上昇するわけがないです.でも,それも時間の問題なんですがね…….

Q. ツバル以外の大多数の海岸線は特に変わっていない.

A. 変わる前に何とかしたいものですね?特に,大部分が海抜以下の大都市東京を抱える日本としては.

Q. バイオエタノールによる温暖化政策で穀物価格が急上昇し,結果として飢饉を招いている.

A. バイオエタノールがカーボンニュートラルと言うのは幻想です.なので,誰も本気で取り組んじゃいません.もっと残酷なことを言うと,学者は経済がどうなろうと知ったこっちゃないです.

Q. 異常気象も昔からあったけど今は通信網と技術の発展により今までビデオカメラが入らなかったところにカメラが入り,リアルタイムで現状を伝えるためインパクトが強いニュースになる.例えばアフリカで大洪水が起きて何万人もの人が死んでも昔なら映像が無ければTVで放送せず,下手をすると数日たって新聞に数行の記事が出るだけで終わりだったのが,今では現地の人がビデオカメラで写した映像が数時間後にはショッキングな映像として配信されてそれを見た多くの人に「温暖化を原因として多発する異常気象」として象徴にされている感が強い.

A. 科学者は各々の異常気象の原因に関して「温暖化が関与している」なんて絶対言いません.つーか,そんなもん解るかよ.IPCC の報告書の冒頭に書いてあるじゃん,そんなこと.

Q. 実はみんな気づいてるんだろ.
今更ちょっとばかしエコなんてやっても手遅れで無駄だって.
でも多分,自分が生きてるうちは大丈夫だから
無駄で面倒な事はやり事はやりたくない


A. これが事実なんだろうなぁ…….じゃあ,我々の努力って一体なんなんだろう…….

でも,最近の報告を読んでいると,「メキシコ湾流(世界最大の海流)があと10 年くらいで弱体化する(参考:「環境問題(笑)3」)」とか「北極点の氷は,後数週間の気候次第で,今年の夏になくなるかも」とか「南極点付近で降雪量が増えている」とか,かなりカタストロフなものばっかりだから,いま,「若者」と呼ばれている人たちにとっては,全然人事じゃないんだけどね…….

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……批判にもなっていない,サイエンティフィックな背景の全くない,あまりにも下らない言説が多過ぎて後半は特に適当になってしまいましたが,こんなものでしょうか?

しかし,ネタにマジレスは本気で疲れるな…….

因みに,少し前にも書きましたが,僕のスタンスはあくまでこうですので…….

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<参考>
「環境問題(笑)」
・環境問題のこれまでの簡単な議論の流れと,それが,お茶の間に伝わるまで.に焦点を当てて解説しています.

「環境問題(笑)2」
・環境問題.主に温暖化問題に関する簡単な入門.ただし,書いたときの不手際で「ミランコビッチサイクル」に触れていません…….いずれ書かないとなぁ…….

「環境問題(笑)3」
・2ch で祭られたとある記事について.

「環境問題(笑)4」
・丸山先生のおっしゃられる「太陽線温暖化仮説」のからくりとか.あと,「異説」はなんで生じるのか,など.

posted by yulico at 03:06| Comment(0) | TrackBack(0) | おべんきょう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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