知っている人は知っているとは思うけれど(と言っても,ここを読んでいる人で知っている人がいたかどうかは凄く微妙だけど),僕は個人的にはOasis がそれほど好きなわけではない.大概のアルバムは持っているわけだが,それは基本的には叩くために買ったもので,別によく聞くわけでもない.ただ,確かに1st と2nd には聞くべき価値はあると思うし,"Live forever", "Supersonic", "Morning Glory", "Champagne supernova" の4曲はロック史に残る名曲だとは思う……,そんなのが,"Heathen chemistry" を聞くまでの評価だった.
"Heathen chemistry" を聞いてぶっ飛んだのは,リアムがちゃんと「歌」を歌えるようになっていた点.それどころか,歳食ったせいなのかなんなのか,声自体が凄く渋くなっていて,特に"The Hindu Times" が素晴らしかった(まぁ,他の曲は……).ただ,リアムがちゃんとバンドのVo として一本立ちしたと言う点で,僕個人の中での「Oasis = 兄ちゃんのバンドに自己中な弟が乱入してきてシッチャカメッチャカになっているバンド(逆に言うと,そんなVo の乱入程度でシッチャカメッチャカになるほど芯のないバンド)」という評価から,英国サイケ〜マンチェスターサウンドの延長線上の「バンド」として一定の評価を下せるレベルにあがったなー,とはじめて思った.
で,次作の"Don't Believe The Truth" だが,曲構成は地味ながら,前作の「バンド感」を発展させた感じで悪くないと思っていた(世間的にはあんまり評価高くないらしいけど).というか,ザックのドラムが英国サイケ〜マンチェスターサウンドの延長線上の音にEarly Generation of British Hard Rock なノリやmods なノリを加えていて,僕の好みにはしっくり来ていた.
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で,今作.
どうも情報が混乱していて(ライナーノーツはアホ評論家が書いているからなんの情報源にもならないし),現在のメンバー構成やなんかがわからないのだが,相変わらず,ザックがドラムを担当している曲とノエルのくそドラムの曲が混在しているらしい(ザック自身は既にOasis との関わりを断っている模様).聞いたらあからさまに分かるけど,ノエルがドラムを叩いている曲(よりによってオープニングトラック)は曲の入りからリズムのセンスがダサすぎて聞くに堪えなかったwww
……なので,ザック(というか本業ドラマー)が叩いている曲のみについてコメントします.あと,演奏技術論に関しては今更感が強いので割愛(相変わらずノエルのギターはリズムがメタメタだし,ソロはクソださいうえに音外しまくり.ベースに関しては「本業ベーシストを雇え」とマネージャーでもないのに口を出したくなるくらい,相変わらずのドヘタクソ&ノーアイディアマンだしなー.つーか,せめてギターと(音程的に)競合する音を出すのはやめて欲しい.聞いている方はいきなり低音がすっからかんになるので不安になるのだよ…….まぁ,不安を煽るのがサイケっていうんだったらアレだけどさ.……って,演奏技術論に関しては書かない,って言っておきながらメチャクチャ書いているな.まだ言いたいことはたっぷりあるけどこの辺で勘弁しておこう).
曲は,大部分が全二作から引き続き,究極劣化The Stone Roses(特に2nd)というか,マンチェの底に溜まった澱とZep の上澄みをごった混ぜにして適当に二分割した塊を皿の上に放り出したカンジで,まーいいんじゃね?っていう感想.4 曲目は「この時代によくもまぁ,こんな古くさいセンスで曲を作って出すよなー」という意味で凄く感動した(一応褒めてるんですよ?).あと,2 曲目の"The Turning" はタイトル通り,このバンドのターニングポイントになり得るような,(いい意味で)新しい風を感じた.あと8 曲目が後期ビートルズを思わせるようなサイケっぷりで個人的には大好き(これで,ベースがマトモでちゃんとリズム取れて,ドラムと良いグルーヴ出してたら完璧だったのに……).他に特筆すべき曲は9 曲目かな.6/8 なリズムというか,ドラムが面白かった.
取り敢えず,何から何まで「古くさい」.古くさい,と言うのは,単に曲調が懐古趣味だっていうことではなくて,色々実験的な音作りを試しているのは分かるんだけど,全部,どっかで誰かがやっているのを聞いたことがあるアイディアばかりっていう意味で…….要は完全にアイディアが枯れているんだろーなー,ノエルの.
今後に期待すると言う点では,2 曲目のどこかに眠っているっぽい,新しい風のようなもの(まだ聞き込んでないから具体的に指摘できないんだけど,サビの入りの静かな激しさ(コードは盛り上がらないし,コード展開的にはメロとあまり変わらないのにローテンションのまま絶妙にメロディーの位置エネルギーを上昇させているような感じ)とか,ソロでのちょっとディミニッシュな音使いとか……etc. がこれまでのOasis にはないものを感じる)を上手くコントロールして,新しいアイディアを提示してくれれば良いんじゃないかなー,と思う.
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すっげー毒吐いてるけど,"Heathen Chemistry" 以降は,結構,このバンドのCD には期待しているから言うんであって,このアルバム自体は,ここ二作の流れを汲んだ秀作〜佳作だと思うので,元々,Oasis が好きとか,ここ数作の流れが好きと言うのであれば十分に買う価値があると思います.