こんにちわ.yulico です.以前も書いた通り,中学生当時,庵野に盛大に釣られてしまった中二病患者であった人間の義務として,昨日の公開初日に新劇場版の「破」を見に行ってきました.会場の様子などはこちらの日記にまとめていますので,ご覧下さい.以下は,読んでいる人が既に視聴済みなものとして,感想を書きますので,くれぐれもご注意下さい.
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※以下は,ただの感想&覚え書きなので,あまり真に受けないで下さいね.
◎ストーリーとかその辺の視聴感想文
<全体的な感想>
一作目に引き続き,「やられたなー」というのが,ファーストインプレッションでした.うん.完敗.
基本的には,事前情報(噂?)で流れていた通りの筋でした(アスカ死亡など.いや,正確には死ななかったけど).
本編未視聴の人間にはストーリーを追いかけるのがキツいんじゃないかと言うくらい,展開が異常に早かったのが難点かと思います(アスカがシンジに惹かれていく上で重要なマグマダイバーなどのエピソードがカットされていたりしています).展開が早いことの解説(というか,時系列ではなくて物語に関係ない日常はカットしているよ,という言い訳)は周囲の変化でちゃんと描いているものの,本編を追っていないと正確に何日経過したのかが分からないので,各個人の恋愛模様や心的な変化を追いかけるのが大変でした(例えば,アスカは何の前触れもなく,気が付いたらシンジのことが好きになっている設定,とか).少なくとも,そう言う,今回の新劇場版を見に来る人間にとって「自明でしょ?」と庵野が思っていそうなところの説明は,これでもか,というくらい物語からカットされています.
その分,丁寧に,強調して描かれているのが戦闘シーンと各キャラクターの恋愛のベクトルです.前作「序」では消化エピソードが ep. 1 から ep. 7 くらいまでだったのに対し,今回は ep. 19 相当までの進展だった(ゼルエルとの戦闘まで.しかし,初号機が旧劇場版でいうところの生命の木状態になってしまった [シンジを取り込んだまま神格化&ロンギヌスの槍と融合] ので,今後の展開は不明ながら,残りの使徒2匹は出てこないとかいう展開もあり得るかも?)ので,ほとんど全編を通して,日常(恋愛のベクトルを示唆する描写のみ)→戦闘(書き込みに凝っていて,作画枚数が異常に多くて長い)の繰り返し,という印象でした.
全体として,庵野が「もう,エヴァに関わりたくないから,謎とかそういうの残さないで,極限までストーリーを簡略化して,これ以上,このアニメを引っぱりたくない……」と言っているのが聞こえてくるくらい,内容が単純(&謎を残さない展開)になっている,という印象でした.
<作画>
前作は,配線などの書き込みに対する異常なこだわりが見られたけれど,今回は戦闘シーンにおける音楽との異常に丁寧な同期に凝ってみました,という印象です.
たしかに,凝っているだけあって戦闘シーンの動きは超美麗でした.
ただし,その分,日常シーンにおける各キャラクターの表情,アニメーションの使い回し,モブシーン,CG 丸出しの大量の戦闘車両,など,前作より,若干,手抜きが目立ちました.
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◎各キャラに関しての覚え書き(今作はキャラクターの印象破壊に重点があった気がするので.シンジを除く少年少女のみ.大人については別に書くかも)
<マリ(新キャラ)>
まずは,今回,初登場の新キャラのマリについてです.
「何か腹に抱えている野望があるよ」という設定は明示されたものの,今作中ではその辺りに対する言及はなく,基本的にはストーリーの中で便利に使い回されていました(エヴァ伍号機実験中の支部の消滅の原因は,この子による,意図された暴走でした,とか,アスカの体が使徒に浸食されて凍結されたので,ゼルエルとの戦闘で弐号機を大破させるときに動かさせた [多分,今後の展開と本編との整合性の上で,弐号機を大破させておく必要があるのでしょう],とか……).
加持さんの野望のおまけ的なキャラで(とはいえ,腹に抱えているモノは別にあると思いますが),少なくとも現在までの行動の中には,特筆すべき重要性はないと思います.今回のお話のなかでは,なんというか,元々,破綻してたアニメ本編中の出来事を,無理矢理,整合的にするための解決策として,この新キャラを作ることで,解決しようとしているのではないか,と邪推してしまうような扱われかたでした(これまた邪推かもしれませんが……).
まぁ,次回作以降,本格的にストーリーに参入してこないとどんな意図をもって動いているのかが,(そもそも本編にいないので)わかりません.せっかく,新キャラを投入したのだから,それなりに活躍させて欲しいものです(戦闘を「活躍」というのなら活躍してたか?でも,あんまり強烈な印象がないんだよなぁ……).
あと,声優が少なくとも僕の好みではないです.
<アスカ(ver. 式波)>
式波になった理由は本編中では言及されていなかったように思います.多分,理由なんてないんじゃないでしょうか?あるとしたら多分,これが本編のパラレルワールドだというのの強調,とかでしょう.
特筆すべきことは,トウジの替わりに四号機の松代での軌道実験に参加して使徒と融合し,その後,そのまま凍結保存されてしまった,という展開でしょう.次回予告では元気に(独眼で)出てきていたので,使徒と人間のハイブリットとして復活する……とかいう展開なのではないかと予想されます.この辺の設定が,人類補完計画発動後にアスカを生き残らせる理由に響いて来そうな気がするのですが,わかりません.
キャラクターが,アニメ放映時とまるっきり変わっていて,当時の,シンジへの思いをストレートに出せない,とかいう部分が無くなって,悪い意味で単純になってしまっていました(悪い意味で優等生的だった).個人的には本編のときの色々屈折した感情を抱えているキャラクターの方が人間くさくて,その分,シンジを自分のものにしたいという感情がストレートな気がして,好きだったなぁ…….
<レイ>
本編と違い,完全に「碇君が好き」だということを認識していて,やはり,自分にとって重要な「碇指令」と「碇君」を「仲良く」させたいという意思が明確に描かれています.やっぱり,本編より「分かりやすく」なっているけれど,アスカと違って,そのおかげで逆に人間くさくなっているので(何しろ,ゲンドウがレイの発言からユイと錯覚するくらい,人間っぽい),個人的にはこっちのレイの方が好きです.
あと,本編との差異で重要と思われるのが,ゼルエルとの戦闘でシンジと融合することです.
これのおかげで,本編で,本来,「碇君のことが好き」という感情がないはずの三体目のレイが,人類補完計画のときにゲンドウを裏切る理由が薄弱だったのが解決されるんじゃないかと予想してます(つまり,アルミサエルとの戦闘で死なない,または戦闘に参加しないんじゃないかと思います.ここでも新キャラが便利に使われるんじゃないかとw).
<カヲルくん>
登場した,とはいえ,全体で数秒しか出ていません.
ただ,「今回は君のことを救うことができる気がする(←正確ではないと思います)」というようなセリフを最後に(初号機,またはシンジに向けて)言っており,この新劇場版自体がパラレルワールドエンドを迎えることを示唆しているように思えます.
「これもまた,ひとつの可能性」というラストは,それはそれで良いと思うんですが,かれこれ十ウン年,このアニメに取り憑かれてしまったファン層を納得させるのに十分か,というと,少し疑問に感じてしまいます.
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……取り敢えず,感想はこんな感じです.個人的には,僕の大好きな,本編でも最強だったゼルエルが新劇場版で更にパワーアップしていたので,大満足でした.やっぱり,使徒はあさりデザインのやつらが可愛くて好きです.
あと,宇多田の歌は,前回にも増してストーリーと乖離していて,良くなかったと思う.歌うのが宇多田でも,せめてもう少し内容を意識した曲作りをさせるなり,何なりできたんじゃないかなぁ,と思います.
なんでもう少し気を使わないのだろう?別に,わざわざオリジナルにしなくても, "Fly me to the moon" とかでいいのに…….
何はともあれ,基本路線はアニメ本編を追いかけていた前作「序」に比べて,完全にオリジナル展開に突入したことで,嫌が応にも,次作に対する期待感を煽ってくれました.
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17:38 6/30
予想以上にアクセス数が多いので(昔,序の感想を書いたときはこんなにリアクションなかったのに……),不適切な放言やら,文意の分かりにくかった部分やらを一部修正しました.
これ以前のバージョンをご覧になった方々,申し訳ありません.
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