毎年、この時期になると、何故かサン・テグジュペリを読みたくなります。理由は、特にありません。というわけで、久しぶりに「人間の土地」と「夜間飛行」を本棚から取り出しました。
サン・テグジュペリというと、どうしても「星の王子様」な印象が強くて、特に日本では、それ以外ほとんど読まれていないようですが、「星の王子様」は、小説としては”駄作” 、正直、あの作品を有り難がる神経はよくわかりません。
「星の王子様」が、世界的にどう扱われているのか、僕は知りませんが、少なくともサン・テクジュペリとイコールで語られるような、彼の代表作として認知されていることはないんじゃなかろうか、と思います。少なくとも、僕は、子供向けの陳腐なオブラートに包まれたあの「死」の物語にひかれる部分は全くありません。子供に読ませるというのならまだしも、死に伴う清も濁も知った後の大人が、あんなものを読むのは、偽善的で気持ち悪いです。
閑話休題。
もう一つ、この時期になると読みたくなるのが、泉鏡花です。これまた、特に理由はありません。サン・テグジュペリのようなリアリズムとハードボイルドの固まりのような作家と、泉鏡花のような幻想小説、いわば、嘘の極致のような、全く別物の小説を読みたくなる、僕の心理作用もよくわかりません……。
そんなわけで、鏡花の全集を引っ張りだしてきたり。
閑話休題。
やっぱり、春は嫌いです。
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