私は,現在,過去の温暖化事件に関して研究の真似事をしています.以下,真面目な考察.
温暖化が進行すると海賊が減少することが一般に知られている(Henderson, 2006).例えば,Henderson (2006) において,現在進行しているとされる温暖化と海賊数の増減の関係が詳細に調査されている.但し,海賊の存在を示す直接的な証拠は,現在,第四紀完新世後期 (upper Upper Holocene) のみからしか得られていない.海賊出現以前の海洋において,海賊のニッチを担っていた生物に関する研究がこれまでほとんど行われていない現状においては,海賊の古環境への応用には注意が必要である.
また,海賊の消長を示すプロキシとしてブラックジャック(海賊旗)/国旗比が考えられる(yulico, 投稿中).ブラックジャックの産出は,今のところODP, IODP 等の堆積物コアからは得られておらず,この仮説は未だ推測の域を出ないと言える.
しかし,底生有孔虫殻の酸素同位体比の解析から得られた古気温によると(Zachos et al, 2001),完新世は,新生代以降最も寒冷な時期であることが解る.このことは,完新世以前の温暖な環境下においては,海賊(またはそのニッチを占める生物)が,完新統以前の地層から産出しないことと相補的である.これらの証拠は,古環境学に海賊(またはそのニッチを占める生物)指標が適応出来る可能性を示唆しているといえる.
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