2008年06月08日

インターナショナルフェスティバルに見る食の進化学(予察)

こんば……おはようございます.yulico です.現在,北海道大学は学校祭期間中ですが,なんの影響もなく研究室でぐったりと過ごしております.

しかし,学校祭の企画として毎年行われている留学生(および研究員)が自国の料理を振る舞うインターナショナルフェスティバルには連日参加してたりします(なぜなら珍しい食い物がいっぱいだから).このイベント(?)には,毎年参加して食い歩きをしているのですが,ここ五年間くらいの食い歩きの感想から,ちょっとした食の進化論的解釈を思いついたので,面白いかどうかはわかりませんが記録しておきます.

「インターナショナルフェスティバルに見る食の進化学(予察)」

はじめに(研究の目的)
地形的な隔離,地理的な農業生産物の差異が,食文化の進化・形成にいかにして関わるかを,インターナショナルフェスティバルの開催時に出店している各国の料理を基に推察する.

試料と方法
インターナショナルフェスティバル@北大祭に出店されている各国の料理のうちyulico の口に入ったもの.
yulico の主観による味の類似,乖離,地理的な関係をもとに主観に基づく分類を行う.

結果
派生中華系
日本(中華系から派生しているものの,醤油文化など,島国であることによる独自発展要素が大きいため,独自の系を確立した)

中華系(醤,味噌等に類似した味付け.香辛料少なめ)
中国,韓国(韓国は中華系的要素と東南アジア系の要素を併せ持つ)

東南アジア系(香辛料の使用が顕著.ただし,主な香辛料は唐辛子である)
フィリピン,タイなど

中央アジア系(中東系のような香辛料は使用しておらず,また,中華系から派生する味とも異なる.調理に乳製品が用いられる)
ブータン,モンゴル

インド・中東系(いわゆるインドカレー的な香辛料の用い方をする.炭水化物として豆が用いられる)
パキスタン,インド,バングラディッシュ,パレスチナなど

南欧州系(ラテン系)
スペイン

北欧州系(ゲルマン系)
ベルギー

アフリカ系(香辛料の使い方がインド・中東系とは異なる)
エジプト,ガーナ

南アメリカ系(香辛料は少ないが炭水化物として豆が用いられる)
チリ,アルゼンチン,ブラジルなど

分類
1.地理的分類
地理的な要素を強く分類として,下記の5 個のグループが認められる.各グループ内ではある程度の味の類似が認められる.

Group A: 派生中華系,中華系,東南アジア系,中央アジア系.
Group B: インド・中東系.
Group C: 南欧州系,北欧州系.
Group D: アフリカ系.
Group E: 南アメリカ系.

2.味の類似度
味の類似度に基づく分類として下記の6 個のグループが認められる.各グループで地理的な関係性は認められない.

Group a: 派生中華系,中華系,アフリカ系.
Group b: インド・中東系,南アメリカ系.
Group c: 東南アジア系.
Group d: 中央アジア系.
Group e: 南欧州系
Group f: 北欧州系

考察
分類時に行った味に基づく分類と地域差に基づく分類では,結果が大きく異なった.具体的には,本来,地理的にも文化的にも大きく隔てられている中華系とアフリカ系の味の類似が典型的である.
食文化が進化する過程で受ける淘汰圧には大きくわけて「食材の有無」と「人間の味覚」の2つがある.「食材」による淘汰圧は,地域的な関係性によって分類したグループ内である程度の味の類似性を見いだすことが出来たことから,食文化が進化する中で大きな要素の一つであると考えられる.
人間の味覚には生理学的に「甘味」「酸味」「苦味」「塩味」「うまみ」の五味があるとされる(更に辛さの刺激を加えて六味を考えても良い).よって,人間の味覚を淘汰圧として考えた場合,地域差に食材の差に依存しない自然選択が行われていることを示す.このことは,味に基づく分類で,地域的,文化的な背景を越えて味の収斂が起こったことを説明出来る.
今後,より国際化が進み,各地の食文化がお互いに認知され,文化的背景を越えた「好みの味覚の画一化」が起こることが予測される.このことは,人間の味覚に依存した自然選択が継続することにより,ある程度食材や文化的背景を無視し,各地の食文化において味の収斂がより進展することを示すと考えられる.

結論
・食文化は地理的な限定要素のみではなく,人間の味覚により強い選択を受ける.現在の各国の食文化は,これらの淘汰圧による自然選択の結果残ってきた,より人間の味覚に適した味を持つ文化であると言える.
・調理方法,材料が異なっていても,同一の味に辿り着く場合,食文化の収斂が認められることがある(例:アフリカ系と中華系の類似).
・今後,更に人間による味の選別が行われ続けると,ほぼ各国の料理は収斂し,どの地域の料理もある程度似たものになって行く可能性が指摘出来る.ただし,人種間の味覚の差異がどの程度自然選択に影響を及ぼしているのかが明確ではないため,本研究におけるこれ以上の議論は困難である.



……書き終わってから気付いたけど,つまらないな,これ…….もう少し真面目にやるんなら,もっとサンプル数を増やさないと全然駄目ね…….ただ,基本食材でクラスター解析掛けてみたりしたら普通に面白い結果が出てきそうだな,と思った.あと,各地の食材の多様度とかとっても面白そう.
posted by yulico at 06:33| Comment(0) | TrackBack(0) | にっき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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